子供は宝、余計なお世話

計画生育の宣伝ポスター。今じゃあすっかりお目にかかれなくなった画風が何とも懐かしい。60年代のポスターみたいに見えるかもしれないが、1987年の秋に撮ったものでございます。いかに当時の中国が凍結国家の解凍期だったかがよくわかる。そいえばこのころは「おや? 横文字」と思うとピンインだったなぁ。
 日本でも中国の“小皇帝”ぶりがさんざん報道されとりますが、一人っ子政策実施後の中国の民の子供に対する盲愛ぶりといったら、脳みそがとろけそうなほどであります。小学校に上がる子供で箸が使えないなどというのはしょっちゅう目にしましたし(スプーンしか使えないのよ)、ちょいと疲れたらすぐ抱っこ(繰り返しますが小学生です)、危険だからとチチハハジジババが校門までお迎えは当たり前(しつこいようですが小学生です)。日本の子供も何だかなあと思うことは結構多いんですが、中国の子供のばやい、高校生に至っても「親が死んだらこの子はどーなるんだろう」とマジで心配になるくらい、なんもできない子供がたくさんおります。おまけに中国の親というのはやたらと教育熱心で、「勉強ができてエエ大学に入れれば将来は約束される」という盲信が端から見てるとかなりイタいです。学力偏重で生活力を置き去りにしていると、挫折した時痛い目を見るのは子供なのになぁ。あ、でも日本の親にもたくさんいるね、こーゆー手合いは。
 そんな中国の子供事情ですから、冬になると「冷え」を病的に嫌う中国人の発想がいかんなく発揮されます。赤ん坊を日光浴に出そうものなら罵倒され、やむを得ない事情(例えば予防接種など)で赤ん坊を連れて外出しなければいけないばやい、厚着の上に毛布をぐるぐる巻きにして完全武装、決死の覚悟です。毛布の中で赤ん坊が暑さに顔を真っ赤にしているのを見て、ようやく安心するのです。
 なのに、なのに、どーしても理解できない風習があります。冬であろうが夏であろうが、なぜ中国の子供はこんな服を着ているのでしょうか?
えっ? わからないって? んじゃアップで。
どーです、お客さん!
 開襠[衣庫]っていうんですけどね、このズボン。あれだけやれ風に当てるなのやれ素肌を出して冷やすなとうるさい中国人がですよ、なぜ尻丸出しを容認してるんですかね? 以前真冬の北京で見た農民の子供の尻なんか、完全に霜焼けできてましたよ。マジで。中国の冷気は尻からはやって来ないんでしょうか? このような矛盾を目にしてしまうと、中国人の冷気恐怖症は単なる思い込みということがわかると思います。ま、人間なんか矛盾だらけのいきもんだから別にいいんだけどさ。
 しかし、最近の上海ではめっきりこの尻割れズボンを目にしなくなりました。このズボンの大きなメリットはオムツ離れが早いということです。中国では首が座るが早いかこのズボンを履かせて、トイレの気配を嗅ぎ取るやいなや、おまるに座らせるというダイナミックなトイレトレーニングを行うのですが(トレーニングの成果は確かに顕著で、ほぼ1歳になる前にみんな用が足せるようになる)、最近の上海は紙おむつがかなり普及したせいでしょうか、尻丸出しの子供を全くといっていいほど目にしないのです。
 日本でも最近は子供のおむつ離れが遅いだの、それは紙おむつのせいだのと言われてますが、遠からず上海もそういうことになるんでしょうな。
 ところで、あるプロジェクトで大学の先生方と上海に行った時(確か1996年)、当時はまだまだこのズボンが残っておりまして、初めて目にする日本の人々はこぞって面白がっておりました。が、そのうち1人の先生が
「オレ、小っちゃい頃履いてたよ」とぽつりと漏らされました。一同、驚愕。日本人ってよくこの尻割れズボンを笑いの種にしてるけど、笑えねーじゃん。いや、私も笑ってたんだけどさ、ごめんよ。