教育の名のもとに
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注意:微量のエロネタが含まれます。
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| 中国初の「ベッドシーン」を描いた映画として話題になった「野山」という作品があります。これは確か85年くらいにつくられたものですが、さてどんくらいすごいかというと、冒頭、男女(確か夫婦)が床の中で目覚める「だけ」のシーンで腰砕けもいいところでありました。とはいえ男女が床を同じくしているのが映像化されたというだけで、当時の中国でとしては精一杯のエロだったのでありました。とにかく性描写はことごとくタブーとされたのです。 それがたった20年足らずの間に、ドラマでも思わず「ををっ!」と思うような大胆なベッドシーンが見られるようになりました。つまり今ではプチエロくらいはお目こぼしの対象になっているということです。 しかしプチエロなどは焼け石に水、あふれる性欲を社会主義の勝利に向かって奮闘することで昇華できると本気で考えてるバカは、当然おりません。自然、巧妙な手段を使って、市民のみなさんの性欲処理をしてあげようという涙ぐましい努力がそこここに見られるわけです。 その最たる手段が「教育の名のもとにエロをやる」というやつでした。何らかの「教育的指導」でありさえすればエロではないというへりくつによって、中国国民はエロのジャンルを無理矢理に成立させていたのであります。そしてその現象は、みなさまの欲望が「社会主義建設の勝利」から「俺様わたくし様が他人をけ落としてでもリッチな勝ち組に」へ変化しつつあった、80年代後半にはとてもよく見られたのでありました。以下、わたくしが見聞きしたものをいくつか挙げていきたいと思います。 其の1 乳ガンの診断法 上海テレビ局のれっきとした「健康番組」です。ナレーションに従って、うら若き女性が乳ガンの自己診断を行うというものです。 まずシチュエーションがスタジオではなく、一般家庭の寝室というところからすでにエロの伏線が漂っておりました。ましてベッドがダブルで、しかもピンクサテンのベッドカバーにハートの形をした枕なのですから、これはもう「抜き」目的以外の何ものでもないでしょう。予想にたがわず、「まず、上半身裸になって鏡の前に立ちます」というナレーションでのっけから突っ走ってくれました。 みずみずしいおっぱいを惜しげもなく晒した彼女は鏡の前に立ち、「次に、両手を上げて左右の乳房の大きさが同じか見てみます」のあと、「次に、自分でさわってみてしこりがないか確認しましょう」の指導に従って、自ら乳をもみしだくのです。エロの免疫のない上海男児は、間違いなくここでティッシュ(いや、当時の上海では便所紙だな)を取りに走ったことでしょう。 番組はいよいよ佳境に入り、「横になってもむとさらによくわかります」というナレーションのもと、ピンクのサテンのベッドカバーのダブルベッドに横たわった彼女は、ハートを枕に乳をこれでもかともみ続けます。フィニッシュは「ご主人にもんでもらうともっとよくわかります」。ダンナ役の男がどんなやつだったかは忘れましたが、誠実にもんでおることだけは確かでした。健康番組なのですから誠実にやらんといかんのです。決してエロではないんですからね、決して。 其の2 ドラマ「17歳」 タイトルからしてそそりますね、17歳。ストーリー自体はいわゆる「トレンディードラマ」ってやつと青春ドラマを足して2で割ったみたいな、楽しい学園生活モノで、至って健全だったのですが……。 とにかくこのドラマはカメラアングルが「ねらってる」としか思いようがありませんでした。必ず足下からいくんですわ。それもミニスカート履いた女子高生のです。それをパンチラ直前で寸止めしやがるんですが、時々カメラワークに失敗したふりをしてパンチラを入れることも怠ってはおりませんでした。また、当時の高校の授業にはあり得ないエアロビクスなんかを女子が楽しげにやったりしてるのです。ここでもアングルは存分にねらっており、まず尻から入って、そこからなめるように上に行き、乳で止まって全景へパンするのであります。そうした一見寄り道が、監督の本来の目的であるというのは、疑いのない事実だったと思われます。そして頻繁に登場する「女子寮風景」。男子にとってはまさに聖域であります。そこで「私、お風呂行って来る〜」なんて言いながら、きゃわいい女子が物干しからブラジャーをさっと取っていくのです。カメラは物干しにぶら下がる下着類をアップでとらえており、人物は二の次になっているのは言うまでもありません。このドラマで何人、いや何十万人という純真な上海男児が昇天したのでしょうか。 其の3 性教育現場 正しい性教育は、計画生育を推進する上で、また、エイズの発症を水際でくい止めるためにも必須のものであります。ですから、ここでは何が起こっているかは火を見るよりも明らかです。「正確さ」は何よりも大切ですからね。 今はすっかり風貌が変わってしまいましたが、かつて南京路から延安路までの短い間には、模型や動物のホルマリン漬けなど、理科実験関係の教材を売る店が軒を連ねておりました。その中のある一軒の前を通りがかった時、私は思わず息が止まりそうになりました。 |
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| うわっ、すんげーシュール……はおいといて(しかしいつ見てもシュールだわ、この写真)、画像下にハッキリ見えますわな、女性器の断面模型。いや、それだけじゃないんですわ。ガイコツの右手の指あたり、よーく見てくださいよ。奥に鎮座しているのはまぎれもなくヴァギナの模型です。一体全体、どこをどう間違ったらこういうもんを白昼堂々、しかも往来に向けて人の目に晒しておけるのか、その気前の良さには感動すら覚えてしまいます。 恐る恐る足を踏み入れると過激さはさらに増し、床にごろりと無造作に転がっているのは男女の合体中を横真半分に切った模型、しかも等身大です。その向こうにあるのは、胎児が入った妊婦腹の断面模型。ヴァギナがあればペニスもね、ってことで、もちろんあります、実物大。そういったものがこれでもかと、薄暗くて古い建物独特のほこりとかびが混ざったにおいにまみれつつ、ウシガエルや正体不明の生物のホルマリン漬け、中国全図の教材用パズルなどと一緒に同居しているのです。これら模型は中高生の性教育に使われるのか、それとも、計画生育の指導に使われるのか、恐らく後者だとは思うのですが、それにしても、あの合体模型を前に、一体何を講義するものだか、一度は体験してみたいと切に願う店主なのですが、未だその恩恵にあずかっておりません。 其の4 そして世紀末 1999年初夏、ほぼ3年ぶりに上海の土を踏みました。すでに上海の変化はすさまじく、古いビルヂング類は次々と高層ビルに建て替えられている頃です。 友人の漫画家、K島Iつみに「何でもいいからエロいもん買ってきて〜」と頼まれていた私は、迷わず「計画生育センター」を目指しました。ここの1階にいわゆる「セックス・ショップ」というやつがあるのを知っていたからです。ショーケースに屹立するバイブを横目に、数あるVCDの中から「初夜の心得」(これがもー泣きたくなるくらいトホホな内容だった)をゲットし、近隣にある類似店で白衣の♀中年店員と客の中年♂が、まるで大根でも品定めするように、バイブをあれこれ比較検討している姿などを往来から観察するなどという寄り道をしつつ、帰宅(この時は友人の留守宅に泊まっていた)したのはすでにてっぺんを回る頃でした。何げにTVをひねり、ザッピングを行っていると、「生命之源」という番組が始まるところで手が止まりました。すでに私は何かの「予兆」をかぎ取っていたのです。教育TVで放映されているところからして怪しさ満点です。 この日の放映内容は「女性器のしくみについて」でした。予感は正しかったのですが、問題はその密度です。イラストで構造を説明したあと、さー何が出るかと前のめりになっていた私は、画面が変わったあと、思わずつんのめりそうになってしまったのです。まさか実写・生・モロ出し、しかも怪しげな汁付きが出てくるとは夢にも思わなかったのですから。 「こっ、これはK島のみやげにせねばっ!」とカメラをひっつかみ、激写したのはもちろんであります。 その翌日、ブラジャー屋の試着室にカメラを置き忘れたのは、思い出したくない過去のお話です。そして、盗んだやつがくれぐれもあのフィルムを現像していないことを、切に願うわたくしなのでした。 |
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