2005.1.6〜2005.1.12
1元=約13円です

1月7日 しかしよく歩くし食べるなこの親子
 1日目の日記を読み返して、激しくつまらないことに軽い目まいを覚えるも、やりだしてしまったことだから仕方ないので取りあえず続けてみることにする。

 起床は確か8時頃。ほっとけば昼までも寝るじょーちゃんを叩き起こし、階下の朝食バイキングに行く。私たちと同じツアーとおぼしき日本人がたくさんいて、あちこちから日本語が聞こえてくる。

 最近、上海でホテルの朝食というとバイキングが主流みたいだが、おいしいと感じたのはヒルトンくらい(それも10年以上前の話)で、いっそのことおかゆ、点心、つけもの類の普通の中国式朝食を定食で出してくれたほうが、コスト的にも安いだろうし、よっぽどマシだと思うんだが、「好きなものを好きなだけ」がぜいたくに見えるのだろうか、このホテルもバイキング形式であった。オレンジジュースはただの色つき水(粉末ジュースを水に溶いたアレ)だし、点心類は冷めきってるしで、案の定美味くない


 さて、本日の観光であるが、全く予定は立っていない。強いて言えば、あまり来ない地域なだけに、この機会に少しでもこの近辺をうろついてみようかと思っているくらいだ。しかしながら、今回は南京西路成都路に近い武術用品店で、じょーちゃんの表演服をオーダーしなければいかん。できるだけ滞在中に受け取りたいので、これを最優先にすることにして、まずは地下鉄で人民広場に向かうことにする。

 人民広場からゆるゆると歩き、現美術館、元上海競馬場のクラブハウス(
*1)に寄り道したり、李香蘭が服部良一とコンサートやったとかいう、グランド・シアター(現大光明電影院)や、店主が初中国、初上海の時に泊まった国際飯店を横目に見つつ、西に30分ほど歩いたところで、武術店に到着。店の近くには、川島芳子も通った有名なダンスホール、シロス跡(*2)があって、今はショッピングセンターになってるが、その名もまたシロスなのである。最近どうもむかしの名前を借りるケースがやけに多い。これもまた、オールド上海ブームを裏付けるお話である。

 じょーちゃんは黒の表演服をご所望で、帯も一緒にオーダーする。シルクはまだぜいたくなので、レーヨンで。帯込みで110元と、安さに恐れ入る。

 そんなこんなで気付けば昼時になっていた。近くに呉江路美食街があるけど、ホンモノの湯団未食のじょーちゃんのために、ちょっと足を伸ばして、美新まで行くことにする。
 昼時の美新は言うまでもなく混んでいたが、運良くすぐに席を取ることができた。黒ゴマ2碗と肉のを1碗、あと春巻1皿(4本)と雪菜肉絲麺で20元(
*3)。湯団大好物のじょーちゃんだが、それ以上に春巻がお気に召したらしく、油断しているすきに3本食われてしまった。
 腹が満たされたところで街歩き再開。モーラーヴィラ(現在はホテル)が近いので、見学に行くことにする。まずは延安路の歩道橋の上から全景を眺める(
*4&5)。「競馬と船で大もうけしたおぢさんが、娘の夢に出てきたお屋敷をそのままつくっちゃったんだよ〜」と説明してやるが、競馬で儲けるというのが、かーちゃんがパチンコで儲けるのと同じ意味に聞こえたらしく、「競馬って儲かるんだねえ」と的外れな答えが帰ってきた。

 続いてホテル内の散策をする。数年前まで共産党青年団の持ち物だったので、特別な手続きを経ないと見られなかったが、今は出入りに支障はない。2階に上がり、贅を凝らしたつくりを堪能する。古い家が大好きなじょーちゃんはおおはしゃぎで、あちこち飛び回り、歓声を上げている。次に行こうと説得するのに骨が折れた。

 さてお次はどうするか。とりあえず地下鉄のあるところまで戻ろうかと、人民広場までバスで戻る。ここは結構な数の路線が通っているので、路線図を見てピンと来たところにでも行くことにする。と、元日本人街の高級住宅地、多倫路文化街の近くまで行く
路線を発見。帰りも地下鉄で楽そうだし、午後の散策はこれに決まり。

 この日は朝から曇っていたが、午後になり急に風が出てきて寒くなった。帽子をかぶって出ろと散々言ったのにそれを無視したじょーちゃんは、寒さでがたがた震えている。仕方がないので私の帽子を貸し、道端で新しく手編みの黒い帽子を購入した。10元。

 多倫路文化街よりもちょっと離れたところでバスを降り、まだまだむかしの家並が残る街(
*6)を歩く。帽子のお陰でいくぶん楽だが、寒気は容赦なく肌を刺す。ガマンの限界に近くなった頃、文化街に到着。とにかく暖を取りたくて、老電影珈琲館に飛び込んだ。

 この店は日本の雑誌にも都度紹介されているが、私も結構好きな店である。赤レンガの洋館をカフェにしていて、嬉しいことに、内装にはほとんど手を加えていない。だから、古い木材の趣がそのまま楽しめる。また、珈琲館を名乗っているだけあって、コーヒーの種類も結構豊富で、味も悪くない。時間が合えば、1階では古い映画を上映しているので、観賞も可能。とにかく、1回座ったらしばらく立ち上がりたくなくなるほど、居心地のいい空間なのである。
 結局この日も1時間半も座っていて、外はすでに暗くなりかけていた。夕食をどうするか、考えどきであるが、ケーキを食べたせいであまり腹が減っていない。そういえば、スージー森嬢に会ってネットで注文したDVDを受け取らなければいけない。編集者の彼女ならきっと夕食は遅いだろうから、遅めの夕食でも付き合ってくれるだろう。ということで、早速携帯からtelを入れると、入校前で会社に戻らなければいけないけど……という条件付きで、8時に夕食をという約束になった。

 彼女の会社は、宿泊先の近くなので、ホテルで落ち合うのが良いねという話になった。とりあえずホテルに戻って休もうかと、東宝興路の地下鉄駅まで15分ほど歩く。ここからだと上海駅までは乗り換えなし。この駅から上海駅までずっと地上を走り、途中の景色を見ると、西側にはそこそこ新築の高層マンションが建てられているが、東側は手付かずで老朽化した長屋が連なっている。明日は是非このへんを歩いてみようと思う。

 ホテル向かいのワトソンズ(ドラッグストア)で漢方パックや変なジャンクフードなどを購入し、ホテルに戻って一休み。ほどなくスージー森嬢がやってきて、北京の有名店、全聚徳で北京ダックでも食べようかという話に落ち着いた。

 北京に住んでいる頃、全聚徳には何度か行ったことがある。きちんと予約をして、「全鴨席」を出してもらうと、結構な水準のものが食べられるのだが、私はずっと、上海の国際飯店のほうが美味しいと思っていた。だから、北京ダックを食べるなら国際飯店に行ったほうがいいと思うのだが、何しろ今日は歩きすぎで遠出する気になれない。

 ピークの時間を過ぎていたせいか、すんなり座ることができた。お約束の北京ダックを半羽頼み、スージー嬢の大好物である臭豆腐(カビの生えた豆腐を揚げたやつ。くさやに似たニオイ)、青菜と湯葉の炒め、鴨湯(ダックの骨のスープ)を注文する。北京ダックには盛んに手を伸ばすじょーちゃんも、臭豆腐はさすがにダメだったようだ。ニオイに負けずに食ってみると美味しいんだが……。割り勘で108元。

 スージー嬢を送ったあと、寒さにうち震えながらホテルに戻り、バスで充分温まったあと就寝、の前にメールをチェックする。
ADSLがあるのはありがたい。明日はこのホテルをチェックアウトし、プチホテルでの生活が始まる。

*1 私が住んでた頃は図書館だった。美術館のショップにあるオリジナルウォッチは60元と安価ながら、パッケージ共にイイ感じでおみやげにオススメ。

*2 かつての面影などみじんもないシロス跡。ショッピングセンターの中には、日本にも出店してるフランスのビストロ"Flo"が入っている。

*3 毎度おなじみの絵であるが、今回は春巻が加わってるのでとりあえず。麺は時間差で出てきたので今回は省略。上海の春巻はおしなべて小さく、長さ10センチ足らずのものが多い。

*4 延安中路の歩道橋から見たモーラーヴィラの全景。以前は緑地帯になってるところに建物があったし、そもそも歩道橋がなかったから、全景をおがめるようになったのはここ最近の話である。後ろに見える悪趣味な新築マンションはカンベンしてほしい。

*5 2階ベランダから撮ったモーラーヴィラのとんがり屋根。細部を見れば見るほどすげーので、上海に行ったら是非見学すべきだと思う。お泊まりはスイートで1500-5000元。

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*6 冬の上海の風物誌、河鰻の風干し風景。上海では冬になると鴨やら鶏やら豚肉やら川魚やら、何でもかんでも風干しにする。河鰻はぶつ切りにして白菜と蒸すとおいしい。