2005.1.6〜2005.1.12
1元=約13円です

1月6日 閑散期の旅行はツアーに限る
 実はこの旅行、当初は全く予定していなかった。ところが昨年11月に店主ひとりで上海に行ったところ、じょーちゃん(10歳)にさんざんひがまれ、結果、冬休みの上海行きを約束させられてしまったのだ。
 しかしときは年末年始。航空券と言わずツアーと言わず、ムチャクチャ高いのはご承知の通り。ビンボーな店主には出せっこない金額である。困惑していたところ、品川駅でふと手に取った中国旅行のパンフをよくよく見ると、おやおや1月4日以降の料金は無闇にお安いではないか。考えてみると、5年前、じょーちゃんが5歳の頃にも、こんな激安ツアーで上海に行ったのであった。魅力は何と言ってもお子様半額である。4万ちょっとのツアーだから、お子様は2万ほど出せば、上海行って帰ってホテルに2泊できるのだ。
 というわけで、ビッグホリデーの上海ツアーに、ネットを通して申し込むことにした。パンフだと代理店を経由するぶん高くなり、ネットで旅行会社直に申し込んだほうが安いことが判明したからである。ビンボー人はこういうところに目端が利くのだ。

 申し込んだのは往復全日空利用、ホテル2泊付きで全日程フリーというやつだ。たったの2泊3日で店主が満足できるわけがなく、ホテルなしの延泊を付ける。さらに夜着&早朝発の便を夕方着&午前発の、多少滞在時間が長くなる便に変更し(追加料金が発生するが)、カスタマイズもぬかりない。3日目以降の宿泊先として、2003年に泊まった「例の」プチホテルの予約を済ませ、準備万端、当日を待った。

 全日空に乗るのは、5年前の上海行き以来である。最近は中国路線乱発のせいで質が落ちたなどと言われる全日空だが、それでもノースや中国系航空会社に比べると値段は高いし、それらに乗り慣れた店主にとっては、快適そのものだった。機内食(
*1)ひとつ取っても違いが明らか。大喜びで完食する意地汚い親子を乗せ、飛行機は時間通り浦東に到着する。

 旅行会社から、中国人の女性ガイドが迎えに来ている。空港からホテルへの送迎は、ツアーならではの特典だ。浦東のように市中心から遠い空港だと、タクシー代がばかにならないし、節約してリムジンバスに乗っても、時間帯によってはそのあとの足(タクシー)が確保できないという事態に陥る。旅慣れた人はツアーをバカにするけど、自由度が高ければ、ヘタな格安航空券よりもずっとお得だと、私は思う。
 便を変更したせいか、この「ツアー」のメンバーは、私たち以外には30代くらいの男性一人旅の計3人だけだった。マイクロバスの中で、中国人ガイドは上海のガイドをしてくれるでもなく、車内には沈黙が続く。じょーちゃんはよだれを垂らして爆睡である。

 ラッシュ時にぶつかってしまい、上海駅そばのホテルまでは思いのほか時間がかかってしまった。7時を少し回った頃、バスは中亜大飯店に横付けされた。
 チェックインを済ませ、通された部屋は予想通りボロい。普通のホテルの体裁は成しているものの、そこここのメンテが投げやりなのが見て取れる。バスルームのタイルの目地にびっしりついた黒カビなんか、その好例だ。ツアーのスタンダードクラスといえ、キレイ好きな日本人に、このカビが耐えられるのかな? と思う。
 上海駅近くと言えば便利そうで聞こえはいいが、ここはむかし、暮しぶりが豊かでない人たちが住んだ地域である。上海という街は面白くて、市民の心の奥底に、いまだそういう概念が染みついているから、エリアごとの街の様子もいまだに何となく違う。
 とはいえ、最近はずいぶん無秩序に分譲マンションを建てているし、上海人も、購入するなら立地よりも予算に合ったところ、と現実的である。
 ところが店主はむかしの上海人の概念に縛られている人なので、この近辺には、数えるほどしか足を踏み入れたことがない。よって、土地勘は全くない。まともなエサ場はあるんだろうか? 普段上海について偉そうなことばっか言ってるが、自分の知らない地域の話になると、途端にこうして馬脚を現すのである。

 ところで店主の娘は、店主以上の食いしん坊で、食べる量もすでに親を超えている。機内食のお子様ランチ程度のもので満足するはずがなく、部屋に着くなりメシよこせコールが始まった。こうなるともう、奴の腹は一刻の猶予も許さない。一昨年の夏に食べた葡萄園の唐揚げが忘れられないらしく、唐揚げ唐揚げとうめいているので、「ほんの30分ばかしガマンできるか?」と念を押し、地下鉄で陝西路まで出、まっすぐ葡萄園を目指す。

 この葡萄園レストランには、87年の上海留学時代からすっかり世話になっているが、頼むものはいつもほとんど一緒で、唐揚げもその中のひとつである。店に着いた頃はすでに8時を回っていたから、軽めに…と言いつつ、手羽先の唐揚げ、シロツメグサの炒め、肉と青菜のおじやを注文し、たちまち完食してしまう。「ここってバナナのてんぷらがあって……」とつい口を滑らせた結果、これも頼むことになり、とろけるバナナの芳香と練乳のミルキーなコクにうっとりしたじょーちゃんの食欲は、とどまるところを知らず、これも完食。今回はお願いだから腹壊さんといて、と心から願う。

 その後、お約束のTシャツ店「C-PIX」を冷やかし、じょーちゃん用Tシャツ2枚なぞを買ったあと、程よくこなれた腹具合も心地よく、地下鉄でホテルに戻り、あっという間に眠りについた。

*1 機内食のチャイルドミール。じょーちゃんにとっては「子供みたいで物足りない」メニューだったよう。せっかくリクエストしてやったんだから、ぜいたく言うな。つーかあんた子供じゃん。

*1 こっちは普通のエコノミー機内食。牛丼もどきとそうめんらしきものとスモークサーモンのサラダ。最近デザートは付かないらしい。

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