正宗杏仁豆腐
(正しい杏仁豆腐)

 昨年11月の上海では、食品店の店先でクルミと黒ゴマを店先で挽き売りし、挽きたてを求める買物客の行列があちこちで見られました。存在は知っていたものの、店先で挽きたてを売っているのは今回初めて見る光景で、上海の食生活も豊かになったなあとつくづく感心した次第です。
 クルミも黒ゴマもからだを温め、体力をつける伝統的な「補身」の素材。底冷えのする上海の冬にはうってつけと言えるでしょう。レンコンのでんぷんで作ったくず湯に混ぜたり、温かい豆乳に混ぜたりして、朝食におやつにと活用します。
 そのわきにさりげなく売られていたのが、「甜杏仁」を挽いた粉。杏仁はノドを潤す作用があるので、やはり冬向けの食材ではあるのですが、北方の「杏仁茶」が有名なくらいで、上海ではあまりポピュラーではありません。
 手作り杏仁茶ができると衝動買いし、袋を開けてみると、杏仁の濃い香りが立ち上りました。こりゃあヘタなアマンド・プードルよりも美味しいクレーム・ダマンドができるかも……と、洋菓子の材料にすることが頭をよぎりましたが、その前に「ホンモノの杏仁豆腐」をつくるべきだと思い直し、今回の実行に至ったわけです。
 というわけで、何が正しいのかというと、単に「杏仁を使った」という点が正しいだけです。どっかの老舗レストランから秘蔵レシピを盗んできたとかいうことでは全くありません。つまんないオチですみません。でも美味しいから許してください。いやマジで美味しかったんだってば。上海旅行に行かれる方、上海にお住まいの方、冬場ならきっと食料品店にあるはずです。ぜひホンモノの杏仁の風味を満喫してください。日本にいるから入手できないとお嘆きの方は、漢方薬店や中国食材を手広く扱ってる店なら粒のままのやつが売ってるはずなんで、それを挽くなりすりつぶすなりして試してみてください。


 
 

【材料】

[杏仁豆腐]
甜杏仁粉  50g
砂糖    40g
水    250cc
牛乳    150cc
生クリーム 30cc
糸寒天  3g
(棒寒天、粉寒天を使う場合、水分に対して表示分量の半分くらい)   

[シロップ]
砂糖  適量
水   適量
クコ  適量

【作り方】

1 杏仁粉を分量の水に溶かして20分ほど置いておき、成分を抽出する。粒の杏仁は水(分量外)につけて柔らかくしてからフードプロセッサーで挽いたりすりばちですりつぶしたりし、水を加える。寒天は水(分量外)で戻しておく。
2 2重にしたふきんかキッチンペーパーに1を入れ、よーく絞る。布目が荒いと粒々が入ってしまうので注意。
3 弱火にかけてゆっくり温める。沸騰させると香りが飛ぶので注意。
4 温まったところで寒天を加え、ゆっくり溶かす。しつこいようだが沸騰させないように。
5 寒天が溶けたら牛乳と生クリームを加え、軽く温まったところで砂糖を加えて溶かす。
6 砂糖が溶けたら沸騰しないうちに(しつこいってば)火からおろして器に入れ(丁寧にやりたい人はここでもっかい濾すとなめらかになります)、粗熱が取れたら冷蔵庫にて固める。
7 シロップは砂糖と水を適当に火にかけて溶かす。甘さ控えめなんて言って砂糖を少なくしすぎると、水っぽくて不味いから注意(甘味って冷めると落ち着くので、加熱した時には気持ち甘めと思うくらいがちょうどいい)。クコはお湯でさっと洗ってから粗熱の取れたシロップに入れ、冷蔵庫で冷やす。
8 豆腐もシロップも冷えたら適当な器に盛りつける。できあがり。

※砂糖を最初から加えると寒天が溶けないので必ず一番最後に。
※私は自然な杏仁の香りを楽しみたいんで香料は入れてませんが、このままでも充分良い香りです。もし物足りないと思われたら、シロップのほうにアマレット(アーモンドのリキュール)を入れるとなかなかよろしいです。アーモンドエッセンスという手もありますが、ごく少量にしないとえらいことになります。