芝麻湯団
(ゴマ餡入り白玉団子)

やっと実物画像をアップできました。
明末清初(15世紀)景徳鎮染付花文椀

 中国では旧暦の1月15日を元肖節と呼び、小正月のようなものを過ごす習慣があります。夜になると各家庭の玄関に色とりどりの灯籠をかけて祝うのがならわしでしたが、現在では灯籠をかける家庭はほとんどありません。上海では、ウサギの形をした小さな車輪付きの灯籠を転がす子供と、臘梅(ロウバイ)の枝を手にしながら通りをぶらつく人々の姿が、元肖節の風物詩となっています。
 花瓶に臘梅を挿し、湯団を食べるのが、今の上海での習慣となっていて、この時期の上海の花屋は、ちょっとスパイシーな香りをした臘梅の枝でいっぱいになり、春が近づいていることを知らせてくれます。

 元肖節に神様にお供えする団子を“元肖”と呼び、一家団欒を願いますが、上海を含む江南地方では“湯団”と呼ぶのが一般的です。地方によっては“湯圓”とも呼ばれます。
 北方と南方では中身も作り方も違います。北方ではもち米を荒く砕いたものをざるに入れ、揺すりながら餡にまぶしつけます。中身もゴマ、あずきをはじめ、なつめ、さんざしなどのさまざまな餡があり、最近はチョコレート餡も見られます。南方はもち米粉と水で練った生地で餡をくるみ、中身はゴマ餡一辺倒。北方のがずっと大きく、中にはゴルフボールくらいのものもあったりします。一方南方では大きくても500円玉より小さい程度。ところ違えば呼び名も中身も作り方も違うのに、中国の広さを感じます。

 江南地方では、上海の南、浙江省の寧波のものが有名です。最近では日本の中国食材店でも冷凍のものが買えますが、やはり手作りが一番。とはいえ、上海の家庭でも“黒洋酥”と呼ばれるゴマ餡を買ってくることがほとんどで、餡から手作りすることはそんなに多くないようです。

【材料】

[黒洋酥]
黒ゴマ  200g
砂糖   200g
豚の腹脂 200g

[生地]
白玉粉 適量
水   適量

ご予算 500円以上1000円以下
腹脂はほとんどタダ同然でくれると思います。

【作り方】

1 まず黒洋酥(ゴマ餡)をつくる。
豚の腹脂には薄い膜が層になっていて、これが残っていると口当たりが悪いので、手で丁寧に取り除く。
黒ゴマは炒って、フードプロセッサーにかけ、粉にする。
2 1の黒ごまに砂糖→腹脂の順に加えてフードプロセッサーでよく練りあわせる。もしフードプロセッサーがなければ、すり鉢で摺っても可。固さは粘土を目安に。1円玉くらいの大きさに丸めておく。
3 白玉粉に水を少しずつ加え、耳たぶくらいの固さに練って、2の黒洋酥を包んでお団子にする。
大きさは大体10円玉よりちょっと大きめくらい。あまり大きいと、茹でた時に膨らむので食べにくくなります。
4 大きめの鍋に湯を沸かし、3のお団子を入れてくっつかないように時々かきまぜながら茹でる。
目安は表面に浮かんで来て、少々膨らんできた頃。
5 茹で汁ごとお椀に盛りつけ、熱いうちにいただく。

※寧波では、水に漬けたもち米をすりつぶし、木綿袋に入れて吊るし、水気を切ったものを生地にします。
この方法だとキメが細かいおいしいお団子が出来るのですが、さすがに面倒なので、白玉粉で代用しても充分です。
上海では“水磨糯米粉”という名前で粉が売られてます。
※腹脂は肉屋に頼めば安価で売ってくれます。背脂とは全く違うので、間違えないように。上海語では“板油”(バンユゥ)と言います。
※茹で時間が足りないと中まで火が通りません。このお団子のおいしさは、脂が溶けてトロトロになった餡の味わい。浮き上がってからしばらく経って、生地がちょっと膨らんできたかなあと思う位まで茹でましょう。
脂っこいように思うかもしれませんが、茹で汁を合間にいただくので、意外とお腹にすいすいおさまります。
ちなみに私は腹いっぱいご飯を食べたあと、12個食べた記録があります(笑)。
※黒洋酥の分量はちょっと多めですが、冷蔵庫で3週間くらいは大丈夫ですので、一度作っておけば思い立った時に包んで食べられて便利です。ただし、生地の作り置きはできませんので注意。

上海で一番おいしい湯団が食べられるお店

美新湯団店
 私がメシ後に12個食べちゃったのがここのお店の湯団です。
 威海路陝西北路の十字路をちょっと北にいったところにあります。外国人には全くと言っていいほど知られておらず、ガイドブックにも載らないような店ですが、ちょっと味にうるさい上海人なら誰もが知ってる庶民のための名店です。
 本場寧波でもだいぶん食べ歩きましたが、ここに勝る湯団はありませんでした。この店では“猪油湯団”と呼ばれていて、きめ細やかな生地にたっぷり入った餡が口の中でとろけます。
 10年前はテイクアウトだけで、行列しなければ買えないほどの人気店でした。客は手に手にお弁当箱や鍋を持ち、その中に湯団を入れてもらって家で茹でて食べたのでした。私は寒空の中、1時間半並んだことがあります。
 今でもガラス越しにせっせと餡を包む姿が見られます。そして、そのメンバーが一昔前とほとんど変わってないこともまた驚きです。もっとも、「よくこれだけ個性的な顔触れが」というほど、強烈な個性の面々ばっかりなので、忘れようったって忘れられないんですけど……。
 今はずっと便利になって、お店でもちゃんと食べられるようになりました。甘いものがニガテな人のために、小籠包の中身を包んだ“鮮肉湯団”もあり、一口かじるとスープがじゅわっとあふれ出す逸品です。
 めん類やワンタンも食べられますので、街歩きの昼食にもぴったりのお店でしょう。
 ただし、湯団は秋〜早春までのメニューなので、季節外れに行ってもありつけません。シーズン中なら、黒洋酥を別売りしているので、日本に持ち帰って名店の味を再現することも可能です。
 春節時期に売られる八宝飯もとてもおいしいです。